「フラット35」過去最低水準に りそな、低金利で住宅活性
9月の住宅ローンの35年固定金利が過去最低となった。住宅金融支援機構がサポートする「フラット35」の金利は、りそな銀行などで年率2.06%まで低下。2005年5月につけた2.15%を下回った。金利低下は、景気減速で安全資産とされる日本国債が買われて長期金利が低水準で推移しているため。住宅需要の増加を通じて景気への波及効果も期待されるが、利ざや縮小で銀行や住宅金融支援機構の経営への影響も懸念される。
りそな銀は9月、フラット35の金利を8月から0.17ポイント引き下げ、インターネットや電話で資料請求した場合の適用金利を2.06%とした。このほか千葉銀行や北陸銀行などの地方金融機関、ノンバンクのSBIモーゲージなども同様に最低金利を2.06%まで引き下げた。フラット35の過去最低金利が塗り替えられるのは5年4カ月ぶり。
背景にあるのは長期金利の低下。長期金利は25日に0.9%を割り込むなど、7年ぶりの低水準にある。
りそな銀は「市場金利のおかげで金融機関は安い金利で資金を調達でき、住宅ローン金利を引き下げる余地が生まれている」と話す。
住宅ローン金利低下で住宅需要は活性化。8月31日に発表された7月の住宅着工件数は前年同月比4.3%増と2カ月連続のプラス。リーマン・ショック後の低水準からは抜け出せていないものの、「足元はやや持ち直しの兆しがみられる」(国土交通省)という。
住宅建設は自動車や家具などの消費も呼び寄せるため、「景気刺激効果が大きい」(エコノミスト)。このため国交省は住宅建設のペースを維持しようと、耐震性や省エネなどの観点から品質が高い住宅に対してフラット35の適用金利を当初10年間優遇する制度の期限を今年12月から延長することを検討中だ。
ただ、金融界では、金利水準の低下は収益機会の縮小と同じ意味。ある大手銀関係者は「フラット35の金利の引き下げペースは市場金利の低下ペースを上回っており、利ざやは縮小傾向にあるはず」と指摘する。フラット35では、民間金融機関が貸し出した住宅ローン債権を住宅金融支援機構が買い取るため、金融機関は利益が減っても赤字にはならないが、「市場金利が上昇したり貸し倒れが増加した場合、住宅金融支援機構の経営に影響が出る」(関係者)との声もある。